先日、親戚とドライブに行ったのですが、おばさんが最近外出時に転倒して足の指を骨折し、歩くのが大変になったと話をされていました。骨折した部分を固定によりなんとか回復し、また元通り歩くことができるようになったのですが、骨折の場所によってはさらに回復に時間がかかったり、車いすでの生活になってしまったりする可能性がありました。骨粗鬆症は直接、命に関連する怖さはありませんが、日常生活の不便さや健康的な社会生活を過ごせなくなることを考えると、日頃からの予防や対策を考えておく必要があると感じます。
1 骨粗鬆症とは
2 日本での患者数
3 早期発見のスクリーニングツールとパノラマ検査の活用
4 骨粗鬆症の予防や治療を行う前に大切な歯科治療
骨粗鬆症とは
骨の強度が低下することで骨折しやすくなる病気を骨粗鬆症(こつそしょうしょう)といいます。子供や若者が転んだりしたときは、手をすりむいたり、ちょっと怪我をするだけですぐに治ることがほとんどかもしれませんが、骨粗鬆症が進行した状態(特に高齢者)は転ぶことにより、ちょっとした衝撃で手首や肘、足などを骨折してしまうことがあります。
治癒する力が旺盛な若者であれば骨折部位の固定や手術などで治癒を待ちますが、高齢者の方は全身状態により手術ができなかったり、固定や手術を行っても、健康な状態を取り戻すことや元の状態に近づけたりすることが難しいことがあります。
日本での患者数
日本の骨粗鬆症患者数は1,100万人と推定されていますが、その20%程度しか治療を受けていないとの報告があります。
(日本骨粗鬆症学会/財団法人日本骨粗鬆症財団 : Osteoporosis Jpn. 10, 637-697, 2002 )
早期発見の簡便なスクリーニングツール
骨粗鬆症のガイドライン2015年版では身長が2−4㎝以上低下すると骨折するリスクが向上することが報告されています。少しでも背中が曲がったと自覚がある場合は骨粗鬆症があるかもしれないという判断に使えそうですね。
骨粗鬆症の質問票によるセルフチェックもこちから試すことができます。
https://www.taishotoyama.co.jp/op/selfcheck.html
また歯科で撮影する顎のレントゲンであるパノラマ検査を観察することでことで、ある程度、骨粗鬆症かどうかを推測することできます。骨粗鬆症が心配な方で以前にパノラマ検査を行ったことがある方は評価も行えますので、次回受診時にお声かけください。
https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/844
骨粗鬆症の予防や治療を行う前に・・・
骨粗鬆症の患者さんは治療ために薬剤を使用するのですが、骨粗鬆症の状態によっては歯牙を抜歯したあとに、非常に確率としては低いのですが、顎の骨が壊死するという報告があります。したがって、骨粗鬆症の方や骨粗鬆症に対して治療予定の方は治療前にあらかじめ口の中の歯科治療、歯周治療を終えておく必要があります。
顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016
https://www.jsoms.or.jp/medical/wp-content/uploads/2015/08/position_paper2016.pdf
骨粗鬆症を正しく診断するためには医療機関でしっかりとした検査が必要です。ただ、自分が骨粗鬆症なのかどうかを簡易的に調べるのツールとして身長を測定や問診によるセルフチェックを活用していただければとご紹介いたしました。
参考サイト
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版
http://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf
見逃されている骨粗鬆症
http://www.nagasaki.med.or.jp/oomura/caresemi/img/1101miyauti.pdf
骨粗鬆症財団HP